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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁

青空文庫

「…………」

何がなし人々は、気をのまれて、面も白け渡ってしまった。

武蔵は、やがて直ぐ、肱を収めて、鉄砲を元の位置へもどすと、その機に、

「失礼いたした」

と、微笑を見せたのみで、二刀の法については、何も説明らしい説明もせず、そのまま席を辞して、帰ってしまった。

呆っ気に取られたまま忘れてしまったものか、お帰りには誰か付けて送らせる――といった筈だが彼が門を去っても、送って来る者はない。

その門を、振り向くと――

颯々と墨のような松風の中に、何やら無念を遺しているような、客間の燈が微かに瞬いていた。

「…………」

武蔵は、何やらほっとした。白刃の囲みを脱したよりも、こよいの門は虎口だった。形のない、底意の知れない相手だけに、彼も実は、用意する策もなかったのであった。

それにしても人々に武蔵と知られ、また、事件を醸したからには、もう岡崎にも長居はならない。こよいのうちにも立退くのが賢明だが――

「又八との、約束もあるし、どうしたものか?」

独り案じながら、松風の闇を、歩いて来ると、岡崎の町の灯が、街道の突当りに、ちらと見え出して来た頃、路傍の辻堂から、