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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁
四
万兵衛は、ぜひ行ってくれとすすめ、明日ならば、自分も佐用まで行く商用があるから殊に都合がいいが――という。
柴朶垣の外には、秋の昼を、油のような海が、気懶い波音を繰り返していた。
と、垣を背に、海を前に、膝をかかえて先刻から、ぽつねんと黙想していた若い侍があった。
四
若い侍は、十八、九。まだ二十歳を出たとはみえない。
凛々しい服装をしている。
ここから、わずか一里半しかない姫路の人であろう。池田家の藩士の子息といったら間違いはあるまい。
釣にでも来たか。
しかし、魚籠や竿などは携えてはいない。染屋の柴朶垣にもたれて先刻から、砂の多い崖に坐り、ときどき、砂をつかんでは弄んでいる……。そんなところは、どこか子供ッぽい。
「――じゃあ、お通さん」
垣の中で、万兵衛の声だった。
「夕方、返辞してくれないか。行くとすれば、わしは朝、早立ちじゃ。都合もあるから」
どぶり、どぶりと、砂浜に打つ波音のほかは、からんと静かな真昼である。万兵衛の声は、大きく聞える。
「はい。夕方までには。……ご親切に、ありがとうございました」
低い、お通の声でさえも。
木戸を開けて、万兵衛が出て行くと、それまで、垣の裏に坐っていた若い侍は、ついと身を起して、万兵衛の姿を、見送っていた。