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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁

青空文庫

洞窟の中なので、彼女の声はいんいんと籠って、彼女自身の耳へ応えてくる。

ここには、人もいない、世間の目もない。また、見得もない。

あるのは闇、いや菩提の光だけである。

「――その羅刹とも夜叉とも見えようわしを、思えば、其女は長のあいだ、ようまあ、怨みもせぬのみか、この窟へまで、ばばを救おうとて。……おう、今思えば、其女の心は真実じゃった。それを、邪に、悪推量して、恩をあだに憎んだのも、皆このばばの心がねじけていたためじゃ……。ゆるしてくれよ。お通」

そして果ては、抱きあげたお通の顔へ、わが顔を、ひたとつけて、

「このような優しい女子が、わが子にもあろか。……お通よ、まいちど眼をあいて、ばばが詫びを、見ておくれやれ。まいちどものをいうて、ばばを、口の限り、罵って気をはらしてたも。お通よ」

そうお通へ向って悔悟する胸には、またきょうまでのあらゆる場合の自己の相が、すべて懺悔の対象になってまざまざと悔いの胸を噛んで来る。身も世もなく、

「ゆるしてたべ。ゆるしてたも」

ばばは、お通の背へ泣きぬれたまま、このまま、共に死なんものとまで、思いつめたが、

「いや、嘆いているまに、はよう手当したら、まいちど、生きぬ限りもない。