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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁

青空文庫

二

あるまいと、もっぱら称揚する仁が多いようでござるが)

と、彼と武蔵との、宿年の感情をわきまえずに、図に乗っていいでもすると、

(そうかな。ははは)

小次郎の巌流は、その面の色をかくすによしなく、苦々しく冷笑して、

「世間は盲千人と申すからなあ。彼を、名人という者もあろう。達人と称す人もなくはあるまい。……だが、それほどに、実は世上の兵法というものが、質において低下し、風においては廃れ、ただ売名に長けた、小賢しき者のみが、横行する時代であることを、証拠だてておるのではなかろうかな。――人は知らず、この巌流の眼から見れば、彼がかつて、京都で虚名を売った――吉岡一門との試合、わけて、十二、三歳の一子までを、一乗寺村で斬り捨てたごときは、その残忍、その卑劣――卑劣といったのみでは分るまいが、あの時、彼は一人、吉岡方は大勢だったに違いないが、何ぞ知らん、彼は逸早く逃げていたのだ。――その他、彼の生立ちを見、彼の野望する所を見ても、唾棄すべき人物と、それがしは見ておるが。……ははは、兵法世渡りが達人というなら、賛同できるが、剣そのものの達人とは、それがしには思えぬことだ。