輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁

青空文庫

二

遠く小さく――海の青に溶けてゆく小舟を――いや巌流の姿を、見送ってはまた、よよと木陰に泣いていた。

それは巌流が、小倉に落ち着いてからの浅い年月、巌流のそばに仕えて来たお光であった。

「…………」

縫殿介は、眼を反らした。そして彼女の心を愕かさぬように、足音を忍ばせて、浜から町の道へ出て行った。

ふと、気になるまま、

「――誰にも、裏と表はあるもの。晴の姿の陰には、愁いに傷む人のあるもの……」

と、つぶやいて、人目を離れて悲しむ一人の女性と、もう沖へ、うすれて行く巌流の舟とを、もう一ぺん、振りかえってみた。

浜辺の人々は、三々五々、もう波打際から散らかっていた。口々に巌流の落ちつきぶりを称え、きょうの試合の必勝を、彼の上に期待しながら――。

「辰之助」

「はっ」

「天弓を、これへ」

巌流は、左の拳をさし伸べた。

辰之助は、自分の拳にすえていた鷹を、巌流の手へ移して、少し退がった。

舟は今、船島と小倉との間を漕いでゆく。海峡の潮流は、ようやく急であった。空も水も、澄みきった好晴の日であったが、浪はかなり高かった。

舷から水玉のかかるたびに、鷹は逆毛を立てて、凄愴な姿態を作った。