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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁

青空文庫

櫂の木剣は、正眼に持たれ、物干竿の長剣は、上段に返っていた。

しかし、ふたりの間隔は、相搏った一瞬に、おそろしく遠退いていた。長槍と長槍とでも届かないくらいな間隔にわかれていたのである。

巌流は、最初の攻勢に、武蔵の一髪も斬ることはできなかったが、地の利は、思うように占め直したのである。

武蔵が、海を背にして、動かなかったのは、理由があったことである。真昼の中の陽は海水につよく反射して、それに対っている巌流に取っては、はなはだしい不利だったのだ。もし、その位置のまま武蔵の守勢に対して、ぐっと対峙していたら、慥かに、武蔵よりも先に精神も瞳もつかれてしまったに違いないのである。

――よしっ。

思うように、地歩を占め直した彼は、すでに武蔵の前衛を破ったかのような意気を抱いた。

と――巌流の足はじりじりと小刻みに寄って行った。

間隔をつめて行く間に敵の体形のどこに虚があるかを観、同時に、自己の金剛身をかためて行くべく、それは当然な小刻みの足もとだった。

ところが、武蔵は、彼方からずかずかと歩み出して来た。

巌流の眼の中へ、櫂の先を突っ込むように、正眼に寄って来たのである。