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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁

青空文庫

――金さえあれば、世間はおれみたいな人間でも、やれ奇特人の、慈悲ぶかいのと、こっちで嫌だといっても、そんな役付まで持ちこんで来るんだよ。――又さん、おめえも、金をつかむこったぜ」

「へ、へい」

又八は、何かしら、急に胴ぶるいをしながら、早口を吃らせていった。

「や、やります! だ、だから手付の金をおくんなさい」

「お待ち」

手燭と一緒に立って、大蔵は倉の奥へ首を入れ、棚の手文庫から三十枚の黄金を鷲づかみに持って来た。

「入物を持っているか」

「ございません」

「これにでも巻いて、胴巻へしっかり抱いてゆくがいい」

そこらにあった更紗の襤褸を投げてやる。

――と、又八は数えもせず巻き込んで、

「何か、受取でも、書いて参りましょうか」

「受取?」

思わず笑って、

「可愛らしい正直者だのう、おめえは。受取はいい。間違ったら、そこに持っている首を抵当にもらいに行くばかりだ」

「じゃあ、旦那、これでお暇を……」

「待て待て。手付金だけ受取ったからいいやで、忘れるなよ、きのう海の上で、いいつけたことを」

「覚えております」

「御城内の西の丸裏御門の内――そこにある巨きな槐の樹の下だぞ」