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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁

青空文庫

「幾歳ぐらいな男かの」

「そうさ、二十七、八かな」

「面ざしは」

「どっちかといえば丸っこい――そう背は高くなかったな」

「ふム……」

「来なかったかい、そんな人は」

「来ぬがの……」

「ばば殿のことばと、訛もよく似ていたから、国者じゃねえかと思ったが。……じゃあ、お寝み」

使いの男は、帰って行った。

その跫音が去るとまた、やんでいた虫の音が、雨のようにこの家をつつんだ。

ばばは、筆を擱いて、灯の暈を見つめていた。

ふと、彼女が思いだしたのは、燈火の占いであった。

明けても暮れても戦ばかり多かった彼女の娘時分には、戦に出ている夫とか、子とか、兄弟とかの便りを知る術もないし、また、自分たちの明日も知れぬ運命に顫いて、よくその頃の人々は「燈火占」というものを口にしていた。

宵ごとに点す灯を見て、灯の暈が華やかに映しているから吉事があるとか、灯の色に紫色の陰があるから誰か死んだ知らせに違いないとか、灯が松葉のようにはぜたから待ち人が来るとか……。

そうして、憂いたり、喜んだりした。

遠い娘時代の流行り事であるから、彼女ももうその占い方さえ忘れていた。けれど、こよいの灯は、なんとなく、彼女に吉い事があるように、そよめき立っている気がする。