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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁

青空文庫

「手紙……どれ」

半瓦弥次兵衛からであった。

この頃、そこにも余り関心がない。少しうるさくなったのである。寝そべったまま、彼はそれを披いた。

ちょっと、彼の顔色がうごいて来た。――昨夜からお杉ばばの行方が知れなくなったとある。そのためきょうは一日中、部屋の者総出で探し、やっと、所在は知れたが、自分らの手に及ばない所へ運ばれているので、ご相談申しあげる次第ともある。

それが分ったのは例の、どんじき屋の懸障子に、小次郎がいつぞや書いておいた文句を、誰か捺摺り消して、こう新しい墨で書かれてあったからだという。

佐々木どのへ申す

又八の母預り置く者、

小野家内、浜田寅之助なり

――弥次兵衛の手紙にはそんなことまで細々書いてあった。小次郎は読み終ると、

「……来たな」

眸を天井へ上げながら、口の裡でいった。

きょうまで、その小野家の内から、沙汰のないのが物足らない所であった。二名のそれらしい侍を、どんじき屋の側の空地へ斬り捨てて来た時、公明正大にあそこの懸障子へ、自分の姓名を後日のため、書いて来たものを――と心待ちに思っていたところである。

――来たな。

と、呟いたのは、その反響がやっと出て来たほくそ笑みから思わず洩れた声なのだ。