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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁
武蔵は? ――と、見れば、矢矧の橋桁の陰へと、逸はやく跳んで、蝙蝠がとまったように、ぺたと身を屈めていたのである。
「……?」
隣の筆屋の夫婦が、いつも気に病んでいっている言葉が思い出された。――しかし武蔵には、この岡崎に、自分を敵視する者があることさえ不思議だった。何者なのか、思い出せないのである。
そうだ。
今夜はそれを一つ見届けてやろうか。身を橋桁へ貼りつけた途端に、彼は考えていたことだった。――で、いつまでも、息をこらしてじっとしていた。
だいぶ間があった。そのうちに、二、三人の男が八帖の丘の方から松の実みたいに風に吹かれて駈けて来た。そして案のじょう、武蔵が最前立っていた辺の地上をしきりに見廻している様子なのだ。
「はてな」
「見えんなあ」
「も少し、橋寄りの方ではなかったろうか」
すでに、狙撃の的は、死骸になって仆れているものと考えて、火縄も投げ捨て、鉄砲だけを持って、やって来たらしいのである。
鉄砲の真鍮巻が、ピカピカ光って見える。それは戦場に持ち出しても立派な物だった。抱えこんでいる男も、他のふたりの侍も、黒いでたちをして眼元だけしか出していなかった。