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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁

青空文庫

その人に会わばやの一心から――旅へ、旅へ、春から夏を歩き過し、遂に、ここまで来たものと思われる。

ここは姫路の城下に近く、同時に、彼女が育った郷里――美作の吉野郷へも、そう遠くない。

七宝寺で育てられた頃の、乳母はこの飾磨の染屋の妻だった。思い出して、身を寄せたものの、故郷に近いので、外を出歩いたこともない。

乳母はもう五十近いのに子もなかった。それに貧乏でもあるし、ただ遊んでいるのも心苦しく、臼搗きの仕事を手伝いながら、ここから遠くない中国街道の頻繁なうわさから、もし武蔵の便りでも知れようかと、唄もない多年の「会えざる恋」を秘めて、染屋の庭の秋の陽の下に、黙々と、毎日杵を持って想い搗いていたのであった。

そこへ。何か折入って、話があると訪ねて来た万兵衛。近所の麻屋の主人である。

(何であろ?)

お通は、藍の手を、流れで洗って、ついでに、美しく汗ばんだ額も拭いた。

三

「折わるく、小母さんもお留守でございますが、どうぞおかけ遊ばして」

母屋の縁の方へ、誘うと、万兵衛は手を振って、

「いやいや。長居はせぬ、わしも忙しい体じゃ」

と、そのまま、立話に、

「お通さんの郷里は、作州の吉野郷じゃそうな」