輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁
いったい今度の試合にしてもそうである。誰が、こういう切迫の日を持って来たか。考えてみると、小次郎でも、自分でもない気がする。むしろ周囲だと思う。いつとはなく、二人を対峙させ、二人を試合わせてみることに、世間が先に、興味や期待を大きく醸して、
(やるそうだ)
と、いい、
(やる)
と、断じ、遂に、
(いつの何日)
と、まだうわさのうちから、日まで取沙汰されて来たのだった。
こういう世評の対象になったことを、武蔵はひそかに悔いている。かくては自分の名声とやらは喧伝されるにきまっているが、彼は今、決してそんなものを求めていなかった。むしろ、もっと独りの沈潜と、独りの黙思とを必要としている。――というて、それは拗者のすねた心ではさらさらない。行と工夫との合致のために。――そして愚堂和尚の啓蒙をうけてから後は、なおさら、道業の生涯の遠いことを、彼は痛感しているのであった。
(――さはいえ)
と、彼はまた、思うのである。
世間の恩というものを。
生きていること、それはすでに、世間の恩であった。
今日。
この船出に、身に纒うている黒い小袖は、光悦の母が自ら針を持って縫うてくれたものである。