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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁

青空文庫

城太郎は、岸に立って、指さしながら、

「あれだ……あれだ」

「城太どの」

ばばは、確と。――離せば萎えて、そのままほろりと、小舟の縁から落ちてしまいそうな、お通の体を抱きしめて、

「済まぬが、急いで、この小舟の櫓を把って、あの便船の下へ漕ぎ寄せてたもらぬか。――少しも早う、会わせたい。ものいわせたい。お通を連れて武蔵どのへ」

「いや、ばば殿。そう急いたところで、致し方はない。今、藩の方々が、彼方の浜に立ち並んで待ちうけておられるし、早速に、船手の者が一名、早舟を漕ぎ出して、武蔵様を迎えに行った」

「ではなおさらのこと。そう人目をはばかってばかりいては、お通を会わせる遑もあるまいに。――わしがどうなと、人前はいい繕おう。家中の衆に囲まれて、お客として持って行かれぬまに、一目でも先に会わせてやりたい」

「困りましたなあ」

「だから、染屋の家に、待っていた方が好かったに、おぬしが、藩の衆の人目ばかり恐れるので、このような小舟に潜み、かえってどうもならぬではないか」

「いやいや、そんなことはありませぬ。世上の口はうるさいもの、大事な場所へ赴かれる矢先に、あらぬ噂でも流れてはと、父の丹左衛門が案じるので、取計らったまででござる。