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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁

青空文庫

彼の肩に、衆望があつまると共に、主君の忠利も、

「よい者を召抱えた」

と、よろこんでいる。

また、家中の上下が、挙って、

「人物だ」

といった。

定評となってきた。

氏家孫四郎は、新陰流をつかい彼が赴任して来るまでの、師範役であったが、巨星巌流のひかりに孫四郎の存在は、いつか有るか無きかになってしまった。

小次郎は、忠利公に願って、

「孫四郎殿をも、何とぞ、お見捨てなきように。地味な剣法にはございますが、それがしなど若年の剣よりも、どこかに一日の長もあるように存じますれば」

と、称揚して、指南の勤務も、氏家孫四郎と、隔日ということに、彼の口から提議した。

また。ある時、

「小次郎は、孫四郎の剣を、地味なれど一日の長があるという。孫四郎は、小次郎の刀法を、所詮自分などの及ばぬ天禀の名手という。いずれが然るか、いちど手合せしてみい」

と、忠利のことばに、

「かしこまってござりまする」

いなやなく、双方、木剣を把って、君前でたたかった折に――小次郎は機を見て、

「恐れ入りました」

と、先に木剣を措いて、孫四郎の足下に坐し、孫四郎もまたあわてて、

「いや、御謙遜。所詮、てまえなどの敵たる其許ではござらぬ」