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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁

青空文庫

――なおなお、われらこの地に流浪の日には、落魄れ果てていたことをも、喉元すぎて、忘れては身に済まぬ。……そう三つの事を、忘れぬための、例年の会。まず今年も、息災に打揃うて、お互に祝着に存ずる」

「されば、孫兵衛丞どの、御挨拶のとおり、藩公の御慈愛、旧主の御恩、零落のむかしに変る今日の天地の恩。――われら日常も忘れは措きませぬ」

一同して、そういった。

司会者格の孫兵衛丞は、

「では、御礼を」

「はっ」

六名は、膝を正し、両手をつかえて、そこから見える――夜空にも白く仰がれる――小倉城へ向って、頭を下げた。

次に、旧主の地。また各※(二の字点、1-2-22)の祖先の地――作州の方角へ向って、同様に礼をした。

最後に、自分たちで作った馬の沓へ、両手をつかえて、それをも真心こめて伏し拝んだ。

「武蔵どの。一同これより、この河原の上の氏神の社まで、参詣して沓を納めて参る。――それにて式事は済むのでござる。済めば大いに飲みもし話もいたそう程にもう暫時、それにてお待ちを」

一人は、馬沓をのせた三方を捧げて先へ進み、五名は後に従って、氏神の境内へ上って行った。馬沓は、街道に向っている鳥居前の木に括しつけ、拍手を打って、一同はすぐ元の河原の莚へ帰って来た。