Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
十一
そんなことも始終親爺にいわれ、それもそうかとも思うのだった。
十一
三月のある日、藤本の庭では、十畳の廊下外の廂の下の、井戸の処にある豊後梅も、黄色く煤けて散り、離れの袖垣の臘梅の黄色い絹糸をくくったような花も、いつとはなし腐ってしまい、椎の木に銀鼠色の嫩葉が、一面に簇生して来た。人気のない時は、藪鶯が木の間を飛んでいたりして今まで自然の移りかわりなどに関心を持とうともしなかった銀子も、栗栖の時々書いて見せる俳句とかいうものも、こういうところを詠むのかいなと、ぼんやり思ってみたりして、この家も自分のものか借家なのか、訊いてみたこともなかったけれど、来たてに台所と風呂場の手入れをしたりしていたところから見ると、借家ではなさそうでもあった。それに金ぴかの仏壇、槻の如輪目の大きな長火鉢、二棹の箪笥など調度も調っていた。磯貝は見番の役員で、北海道では株屋であったが、ここでは同業者へ金の融通もするらしかったが、酒とあの一つのことにこだわりさえしなければ、好意のもてなくもない普通の人間で、銀子も虚心に見直す瞬間もあるのだった。死んだマダムもこの親爺も両親は土佐の士族で、産まれは悪くもなかった。