Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
山荘
一
煩さがる均平に一々頼むわけにも行かず、抱え主の分を自身で明細に書き入れるのであった。勘定のだらしのないのは、大抵のこの稼業の女の金銭問題にふれたり、手紙を書いたりするのを、ひどく億劫がる習性から来ているのであったが、わざと恍けてずるをきめこんでいるのも多かった。
食事中、子供は留守中に起こったことを、一つ一つ思い出しては銀子に告げていたが、
「それからお母さん、砂糖壺を壊しました。すみません。」
台所働きの子が好い機会を見つけて言った。
「それから三村さんところへお手紙が……。」
均平はここでの習慣になっている「お父さん」をいやがるので、皆は苗字を呼ぶことにしていた。
山荘
一
簿記台のなかから、手紙を取り出してみると、それは加世子から均平に宛てたもので、富士見の青嵐荘にてとしてあった。涼しそうな文字で、しばらく山など見たことのない均平の頭脳にすぐあの辺の山の姿が浮かんで来た。しかし開かない前にすぐ胸が重苦しくなって、いやな顔をしてちょっとそのまま茶盆の隅においてみたりした。いつも加世子のことが気になっているだけに、どうしてあの高原地へなぞ行っているのかと、不安な衝動を感じた。