Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
十九
」
博士は噛んでくくめるように言うのだったが、銀子は下手に何か言えば弁解みたようだし、うっかり告白してしまった時の後の気持と立場も考えられ、終いに口を噤み硬くなってしまった。博士も、堪忍袋の緒を切らせ、ビールの酔いもさめて蒼くなっていた。
十九
「裁かるるジャンヌ」を見て来た一夜、ちょうどそれが自分と同じ年頃の村の娘の、世の常ならぬ崇高な姿であるだけに、銀子は異常な衝動を感じ、感激に胸が一杯になっていた。強い信仰もなく、烈しい愛国心もない自分には、とても及びもつかないことながら、生来の自分にも何かそれと一味共通の清らかさ雄々しさがあったようにも思われ、ジャンヌを見た途端に、それが喚び覚まされるような気持で、咀わしい現実の自身と環境にすっかり厭気が差してしまうのだった。
その晩から、銀子は蘇生したような心持で、裏の家の二階に閉じこもり、磯貝の来そうな時刻になると、格子戸に固く鍵を差し、勝手口の戸締りもして、電気を消し蚊帳のなかへ入って寝てしまった。しかし呼び鈴が今にも鳴るような気がして神経が苛立ち、容易に寝つかれないので、今度は下へおりて押しても鳴らないように、呼び鈴に裂をかけておいたりした。