Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
十五
」
「何だ、そんな頭の一つ二つ。」
そして傍で呆れている若い人たちと一緒に引きあげようとした。
「ちょっと。」
寝ながらの葉子の声がした。庸三は瞬間後へ引き戻された。看ると葉子の表情がにわかに釈れて、融けるような媚笑が浮かんで来た。
「先生はいてよ。」
白い手が差し延べられた。場合が場合なので、彼も今夜は彼女の魅惑には克つ由もなかった。
十五
退院後の葉子の健康は、しかしそのころまだ十分というわけには行かなかった。そしてそういうことがあってから後も、どうかすると熱発を感じたが、外科ではあるが、K――博士のくれる粉薬は、ぴったり彼女の性に合っていると見えて、いつも手提のなかに用意していたくらいだったので、少し暖かいところへ出てみたいと思っていた。庸三はちょうど新聞を書いていたから、一緒に行くのに都合がよかった。葉子も別に独りで行きたそうにも見えなかった。それに旅行というほどのことでもなかった。つい無思慮な二人の間の因縁の結ばれた郊外の質素なホテルで、余寒の苛々しい幾日かを過ごそうというだけのことであった。
けれどホテルへ乗りつけた時、葉子は決して楽しい気分で、部屋へ落ち着いたとは思えなかったが、サンルウムのような広いベランダを東と西に持ったサルンの煖炉には、いつも赤々と石炭が燃やされ、部屋にもスチイムが通っていて