Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
二
東のものが西へ移り、南のものが北で暮らし、この種類の女は遠く新嘉坡や濠洲あたりまでも、風に飛ぶ草の実のように、生活を求めて気軽に進出するのだった。
二
この客車にI―町の弁護士が一人乗りあわせていた。彼は銀子たちより少しおくれて、乗り込んだものらしかったが、主人夫婦が外套をぬぎ、荷物を棚へ上げたりしているうちに気がつき、こっちからお辞儀した。
「やあ。」
と弁護士の方も軽く会釈したが、彼は五十五六の年輩の、硬い口髯も頭髪も三分通り銀灰色で、骨格のがっちりした厳つい紳士であった。
「先生も春早々東京へお出掛けかね。」
主人夫婦は座席を離れ、傍へ寄って行った。
「ちょっと訴訟用でね。貴方方はまたどうして。」
「私かね。私らも商売の用事をかね、この五日ばかり東京見物して今帰るところでさ。」
お神は挨拶を済ますと、やがて銀子の傍へ帰って来たが、主人の猪野はややしばし弁護士と話しこんでいた。後で銀子も知ったことだが、猪野は大きな詐欺事件で、長く未決へ投げ込まれていたが、このごろようやく保釈で解放され、係争中をしばらく家に謹慎しているのだった。それはちょうどそのころ世の中を騒がしていた鈴弁事件と似たか寄ったかの米に関する詐欺事件だったが、隠匿の方法がそれよりも巧妙に出来ており、相手の弁護士をてこずらせていた。