Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
何を考えるということもなかったが、独りでいたかった。
福島あたりへ来ると、寒さがみりみり総身に迫り、窓硝子に白く水蒸気が凍っていた。野山は一面に白く、村も町も深い静寂の底に眠り、訛をおびた駅夫の呼び声も、遠く来たことを感じさせ、銀子はそぞろに心細くなり、自身をいじらしく思った。下駄をぬいで、クションの上に坐り、肱掛けに突っ伏しているうちに、疲れが出てうとうとと眠った。
三人が座席へ帰って来たのは、もう二時ごろで、銀子もうつらうつら気がついたが、ちょっと身じろぎをしただけでまた眠った。
仙台へついたのは、朝の六時ごろで、銀子も雪景色が珍しいので、夜のしらしら明けから目がさめ、洗面場へ出て口を掃除したり、顔を洗ったりした。少しは頭脳がはっきりし、悲しみも剥れて行ったが、請地ではもう早起きの父が起きている時分だなぞと考えてみたりした。
見たこともない氷柱の簾が檐に下がっており、銀の大蛇のように朝の光線に輝いているのが、想像もしなかった偉観であった。
「大変だね。冬中こんなですの。」
「ああ、そうだよ。四月の声を聞かないと、解けやしないよ。私もここの寒の強いのには驚いたがね。