Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
五
「お前、毎月家へやるのかい。」
若林が訊くので銀子も、
「ううん、そうでもないの。このごろ妹が病気しているもんですから。」
とお茶を濁した。
五
夏の移り替えになると、春よしのお神は、丸抱えの座敷着に帯、長襦袢といった冬物を、篏め込みになっている三棹ばかりの箪笥のけんどんから取りだし、電話で質屋の番頭を呼び寄せ、「みんな下へおりておいで」といって子供たちを遠ざけ、番頭はぱちぱち算盤を弾いて、何か取引を開始し、押問答の末、冬物全部が手押車に積まれ、二人の小僧によって搬ばれ、夏物と入れ替わりになるのだった。お神は置き場がないので、倉敷料を払って質屋の倉へ預けるのだとか、番頭に頼んで手入れをしてもらうのだとか言っていたが、実は手元の苦しい時の融通であることもだんだん銀子に解って来た。その時代には、一般世間の経済観念もきわめてルーズであり、貧しいものには貧しいなりの生活の余裕と悦楽があり、行き詰まってもどこかに抜け道があって、宵越しの金は腐ってでもいるように言われ、貧乏人の痩せ我慢が市井の美徳としてまだ残っていた。使用人の芸者にも金の観念はなかったが、主人にも算盤を弾くことをいやがるのがあり、春よしのお神の、勘定をきちきちしないのも、あながち狡猾いとばかりも言えなかった。