Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
物質と愛に恵まれた夫婦の生活が、その時すでに破産の危機に瀕していようなどとは夢にも思いつかなかった。
翌日松川が返辞をききに来た時、夫人が文学道に踏み出すことは、事によると家庭を破壊することになりはしないかという警告を与えて帰したのだったが、その時大学構内の池の畔で子供と一緒に、原稿の運命を気遣っていた妻の傍へ寄って行った葉子の良人は、彼女の自尊心を傷つけるのを虞れて、用心ぶかく今の成行きを話したものらしかった。
「葉子、お前決して失望してはいけないよ。ただあの原稿が少し奔放すぎるだけなんだよ。文章も今一と錬り錬らなくちゃあ。」
葉子は無論失望はしなかった。そしてその翌日独りで再び庸三の書斎に現われた。
「あれは大急ぎで書きあげましたの。字も書生が二三人で分担して清書したのでございますのよ。いずれ書き直すつもりでおりますのよ。――あれが出ませんと土地の人たちに面目がございませんの。もう立つ前に花々しく新聞に書きたててくれたくらいなものですから。」
夫人は片手を畳について、少し顔を熱らせていた。
庸三夫婦は気もつかずにいたが、彼女はその時妊娠八カ月だった。