Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
行かないわ、私。」
庸三は頭が重苦しくなって来た。どうにもならなくなって、田端へ来て身を潜めていた彼が、三人の子供と一緒に再び北海道へ帰って行ってから、もう二年近くになった。その間にいろいろの変化が葉子の身のうえにあった。葉子が田端の家ですっかり行き窮ってしまった結婚生活を清算して子供にも別れたのは、その年の大晦日の除夜の鐘の鳴り出した時であった。彼女は子供たちを風呂へ入れてから旅の支度をさせた。しばしば葉子は忘れがたいその一夜のことを話しては泣くのだった。
「でも私からは遠い子供たちですのよ、あの人たちはあの人たちでどうにかなって行くでしょうよ。思ったってどうにもならないことは思わないに限るのね。」
土地では運命を滅茶々々にされた男の方に同情が多いものらしかったが、葉子に言わせると男の性格にも欠陥があった。美貌のこの一対が土地の社交界の羨望の的であっただけに、葉子のような妻を満足させようとすれば、派手な彼としては勢い危険な仕事に手を染めなければならなかったし、どんな生活の破綻が目の前に押し迫っている場合でも、彼女の夢を揺するようなことはできないのであった。