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Japanische Klassiker mit Furigana

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しゅくず

現代日本文学館8 徳田秋声

徳田 秋声

Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme

Aozora Bunko

耳元にとどいて来る遠巻きのすべての非難の声が、かえって庸三に反撥心を煽った。彼は恋愛のテクニックには全く無教育であった。若い時分にすらなかった心の撓みにも事かいていた。臆病な彼の心は、次第に恥知らずになって、どうかすると卑小な見えのようなものも混ざって、引込みのつかないところまで釣りあげられてしまった。

引込みのつかなかったのは、庸三ばかりではなかった。すっかり自分のものになしきってしまった庸三からの逃げ道を見失って、今は彼女も当惑しているのであった。

「僕を独りで帰そうというんだね。」

庸三はすれすれに歩いている葉子を詰った。一抹の陰翳をたたえて、彼女の顔は一層美しく見えた。

「そうじゃないけど、少し話も残して来たし、私後から行っちゃいけない?」

「そうね。」

「先生はいいのよ。だけどお子さんたちがね。」

葉子は別居を望んでいたが、子供たちから離れうる彼ではないことも解っていた。そして庸三の悩みもそこにあった。彼は「今までの先生の家庭の仕来り通りに……」と誓った葉子のかつての言葉を、とっこに取るにはあまりに年齢の違いすぎることも知っていたが、彼女に殉じて子供たちから離れるのはなおさら辛かった。