Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しゅくず

現代日本文学館8 徳田秋声

徳田 秋声

Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme

Aozora Bunko

七

しばらくすると彼は寂しそうにしている咲子の手をひいて、ふらりと外へ出て行った。

七

街はどこもかしこも墓地のように寂しかった。目に映るもののすべてが――軒を並べている商店も、狭い人道をせせっこましく歩いている人間も、ごみごみして見えた。往き逢う女たちの顔も石塊のように無表情だった。ちょうどそれは妻を失った間際の味気ない感じを、もう一つ掘りさげたような侘しさで、夏の太陽の光りさえどんよりしていた。新芽を吹くころの、または深々と青さを増して行くころの、それから黄金色に黄ばんだ初冬の街路樹の銀杏を、彼はその時々の思いで楽しく眺めるのだったが、今その下蔭を通ってそういう時の快い感じも、失われた生の悦びを思い返させるに役立つだけのようであった。もう長いあいだ二十年も三十年もの前から慢性の神経衰弱に憑かれていて、外へ出ても、街の雑音が地獄の底から来るように慵く聞こえ、たまたま銀座などへ出てみても目がくらくらするくらいであったが、葉子と同棲するようになってからは、彼は何か悽愴な感じと悲痛の念で、もしもこんなことが二年も三年も続いたならと、そぞろに灰色の人生を感ずるのであったが、しかし自身の生活力に信用がおけないながらに、ぶすぶす燃える情熱は感じないわけにいかなかった。