Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
均平は少し退屈を感じ、玄関をおりて外へ出てみた。駄荷馬などの砂煙をあげて行く道路を隔てて谷の向うに青い山がそそり立ち、うねった道路の果てにも、どっしりした山が威圧するように重なり合って見え、童蒙な表情をしていた。均平は町の様子でも見ようと思い、さっき通って来た方へ歩いて行ったが、寂しいこの町も見慣れるにつれて、人の姿も目について来て、大通りらしい処へ出ると、かなりの薬局や太物屋、文房具屋などが、軒を並べていた。
ある八百屋の店で、干からびたような水菓子を買っている加世子と女中の姿が、ふと目につき、均平は思わず立ち停まった。加世子は水色のスウツを着て、赤い雨外套を和服の女中の腕に預け、手提だけ腕にかけていたが、この方はしばらく見ないうちに、すっかり背丈が伸び、ぽちゃっとしたところが、均平の体質に似ていた。土間に里芋が畑の黒土ごと投り出されてあった。
均平が寄って行くと、加世子がすぐ気づいた。頬を心持赤くしていた。
「あら。」
「今帰って来たのか。」
「え、ちょっと療養所へ行って来ましたの。」
「どんな様子かしら。」
加世子はそれについて、いずれ後でというふうで、何とも言わなかった。