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Japanische Klassiker mit Furigana

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しゅくず

現代日本文学館8 徳田秋声

徳田 秋声

Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme

Aozora Bunko

帰りの遅くなったのは、最近になってやっとはっきり自覚するようになった葉子の痔瘻が急激に悪化して、ひりひり神経を刺して来る疼痛とともに、四十度以上もの熱に襲われたからで、彼はそれを見棄てて帰ることもできかね、つい憂鬱な日を一日々々と徒らに送っていた。

最初着いた時分には、よく浜へも出てみたし、小舟で川の流れを下ったり、汽車で一二時間の美しい海岸へ、多勢でピクニックに行ったりしたものであった。いろいろの人が持ち込んで来る色紙や絹地に、いやいやながら字を書いて暮らす日もあった。その人たちのなかには、廻船問屋時代の番頭さんとか、葉子の家の田地を耕しているような親爺さんもあった。だだっ広い茶の間を駈けて歩いているのは葉子の別れた良人によく肖ている、瑠美子の幼い妹や弟たちで、それに葉子の末の妹なども加わって、童謡の舞踊が初まることもあった。葉子はさも幸福そうに手拍子を取って謳っていた。子供の手を引いて盛り場の方へ夜店を見にいくこともあれば、二人だけで暗い場末の街を歩いてみることや、通り筋の喫茶店でお茶を呑むこともしばしばであった。葉子の家では以前町の大通り筋に塩物や金物の店を出していたこともあって、美貌の父は入婿であったが、商才にも長けた実直な勤勉家で、田地や何かも殖やした方であったが、鉄道が敷けて廻船の方が挙がっ