Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
であった。書き出せば出したで、どうにか形はついて行くようなものの、いつも息が切れそうな仕事ばかりであった。収入も少なかったので、彼は自分の金をもつというような機会もめったになかった。妻はそれで結構家を楽しくするだけの何か気分的なものをもっていて、計算の頭脳もない代りに、彼女なりの趣味性ですべての設計を作って行った。教養があるのでもなく、本質的な理解もないながらに、彼の仕事や気分が呑みこめるだけの勘はあったので、彼は仕事場の身のまわりまで委せきりで、手紙一本の置場すら決まっていた。彼女の手にかかると、毎日の漬けものの色にも水々した生彩があり、肴や野菜ものの目利きにも卒がなかった。庸三が小さい時分食べて来た田舎の食べ物のことなどを話すと、すぐそれが工夫されて、間もなく食膳に上るのだった。それで彼は何かというと外で飯を喰うようなこともなかったし、小使の必要もなかったわけだが、長い下宿生活の慣習も染みこんでいたので、そこらの善良な家庭人のような工合には行かなかった。育って来た環境も環境だったが、彼には何か無節制な怠けものの血が流れているらしく、そうした家庭生活の息苦しさも感じないわけに行かなかった。