Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
中には、庸三がもっている場合だけの彼女に当て篏まるような種類のものも無くはなかった。もちろん容貌と淑徳とは別であったが、過去は過去として、後に葉子が仕出来したさまざまの事件にぶつかるまでは、庸三の魂もその若い肉体美の発散に全く酔いしれていた。
病院はひっそりとしていた。「文学病患者と書いてある」と庸太郎がふざけたという、病名の記された黒板のかかっている壁の方をむいて、葉子は断髪の黒髪をふさふさ枕に垂らして、赤と黒と棒縞のお召の寝衣を着たまま、何か本を手にしたまま睡っていたのだが、やがてこっちを向き直った。
「山村さん。」
庸三は言うと、葉子は額にかかる髪を掻き揚げながら、
「御免なさい、こんな風して。」
黒い髪の陰に濡れ色をした大きい目を見ながら、庸三は多分隔日くらいにガアゼを取り替えに来て、ずうと子供の時から知ってでもいた人のように、何かと甘えた口の利き方をする葉子に、揶揄い半分応酬しているであろうK――博士のことが心に浮かんだ。
「先生今お忙しい?」
「いや格別。」
「先生という人薄情な人ね。」
葉子の顔は嶮しくなった。
「どうして?」
「いいわ。先生の生活は先生の生活なんですから。