Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
小夜子の家は相変らず盛っていた。綺麗にお化粧した彼女は、帳場に坐って芸者屋へ電話をかけたり、酒のお燗をしたりしていたが、客の特別の誂えだといって、ウイスキイを註文したりしていた。世間はまだそう行き詰まってはいなかった。世界戦争景気の余波がまだどこかに残っていて、人々は震災後の市の復興にみんな立ちあがっていた。金座通りや浜町公園もすでに形が整っていたし、思い切り大規模の清洲橋も完成していた。それにもかかわらずこの辺一帯の地の利もすでに悪くなって、真砂座のあった時分の下町情緒も影を潜め、水上の交通が頻繁になった割に、だだ広くなった幹線道路はどこも薄暗かった。しかし環境の寂しい割りに小夜子の家はいつも賑やかであった。花柳界離れのした彼女のマダムぶりに、原稿紙やパレットに親しんでいるような人たちが、繋がり合ってどかどか集まって来た。
小夜子はあまりお馴染でもない座敷だと、少しサアビスをしてから、息ぬきに銀座辺へタキシイを飛ばすこともまれではなかった。庸三は時々銀座界隈で、いくらか知っている顔も見えるような家へ彼女をつれて行ったが、その中にはでくでく肥った断髪のマダムのやっているバアなどもあった。