Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
尻端折りで風呂へ水を汲みこみもした。
「こんな新しい海老よ、烏賊のお刺身も頼んで来たのよ。」
葉子は肴屋から届いた海老を、庸三の前へ持って来て見せた。
「ほんとうにやる気かしら?」
庸三はそんな気もしたが、郊外の町のホテルに彼を置き去りにした時の、何かに憑かれたような気分はどこにも見られなかった。花火線香のような情火が、いつまたどんな弾みで燃えあがるまいものでもなかったし、新らしい生活に一時飛びつくような刺戟を感じはしても、じきに飽きの来ることも解っていないことはなかったが、それはその時にならなければ、やはり解らないことであった。それに庸三は、生活の責任を回避しながら――それには現実に即しえられない彼女の本質的な欠陥があるという理由があるにしても――彼女の愛を偸もうとする利己心を、性格のどこかに我知らず包蔵していた。もっと悪いことには、自身の生活にある程度創がついても、知るだけのことは知りたいと思った。無論それも頭のうえの口実で彼の気持はもっと盲目的に動いていることも、争えなかった。葉子を通して、彼は微かな触れ合いで済んで来た、過去の幾人かの女性にも目が開いて来た。