Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
二方庭に囲まれた奥の八畳で、何か取留めのない晩餐がすんで、水菓子を食べながら、紅茶を飲んでいる間に、風呂も湧いて来て、庸三は八重子に背中を流してもらいながら湯に浸った。
やがて瑠美子が寝てしまうと、環境もひっそりしてしまって、浪の音が聞こえて来た。
「海へ出てみません?」
葉子が誘うので、ステッキをもって門を出た。ホテルの入口がすぐそこにあった。
「もしラジオをお聴きになりたかったら、ホテルで聴かれますのよ。」
葉子はそう言って、ホテルの裏の小路をぬけて浜へおりて行ったが、このホテルの内容や、マスタア夫妻の生活や人柄についても、すでに感じの細かい知識をもっていた。
海は暗かった。堆高い沖の方が辛うじて空明りを反映させていた。それに海風も薄ら寒かった。葉子は口笛を吹きながら、のそりのそりと砂浜を歩いていたが、ふと振り返ると、マッチをつけかねていた庸三に寄り添って、袖で風を遮ぎった。
「楽しくはない?」
「そうね。」
葉子は夢の中を歩いているような、ふわふわとどこまでも渚を彷徨っていたが、夜の海の憂愁にも似た思いに沈みがちな彼女とは、全く別の世界に住んでいるような、相手が相手なので、何か飽き足りなそうであった。