Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
それに時間がたつに従ってだんだん餒じくもなって来た。
やがて八時も過ぎ九時にもなった。
狭いこの町に、ホテルへ客を送って来る自動車の警笛の音が幾度か響いて、夜も大分更けた時分に、門の前で自動車のエンジンの音がしたと思うと、メイ・ウシヤマで綺麗にウエイブをかけた黒髪をてらてらさせて、濃いめな白粉やアイシェドウに、眉や目や唇をくっきりさせながら、何か型にはまったような美しさで葉子が帰って来た。銀で千鳥をところどころ縫い取った黒い地紋の羽織を着ていたので、顔の感じが一層石膏細工のように硬かった。
「もう帰るだろう、もう帰るだろうと思って、僕は今まで飯も喰わずに待っていたんだ。」
庸三は、腹を立てていた。
葉子は台所の方を背中にして坐っていたが、化粧のせいかいつものように、溶けるような目の表情もないかわりに暗い影もなかった。
「だって、あの人たちが久しぶりだから御飯をおごると言ってくれるし、編輯の人たちに逢えば女はそう事務的にばかりも行かないものなのよ。」
庸三はその雰囲気を想いやりながらも、それもそうかと思ったが、今度は髪や顔をくさしはじめた。葉子は半ば惘れた顔をしていたが、北山やお八重が羨望の目で、どこに陰影一つない粧り立ての葉子の顔を見ていたので、庸三はなおさら虫が納まらなかった。