Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
「とにかく今日は失礼しましょう。いずれまた機会があったら……。」
黒須は示唆的な表情を葉子に示して、あたふた座を立って部屋を出た。
黒須を送り出した葉子は、すぐに部屋へ帰って来たが、興醒めのした顔でぷりぷりしていた。
「悪かったな。」
庸三が呟くと、
「だって先生が何も言ってくれないじゃありませんか。」
葉子の声には突き刺さるような刺があった。
「だって先が何も言ってくれないじゃないか。僕として何も言うところはないんだ。」
「先生はいつだってそうなのよ。大切なことといったら何一つ考えてもくれなかったじゃありませんか。先生の落ち目になった社会的信用で、この上私を持って行こうったって、それは無理だわ。」
葉子はヒステリカルにしゃべり立てながら、隅の方に散らかっていた庸三の単足袋を取って、腹立ちまぎれに、ぴりっと引き裂いた。
庸三は苛立って来たが、葉子にしゃべりたてられると、それに刃向かう手のないことも解っていた。抱擁は抱擁、二人の立場は立場と、はっきりした使いわけの器用さも、彼にはなかった。
やがて葉子は身支度して部屋を出たが、旅館の手前もあるので、少し間をおいてから、彼もそこを出た。