Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
二十
葉子は庸三によって新聞の記事を何とかできるだけ有利に糊塗しなければならなかったが、庸三もこうして彼女に捉まった以上逃げをうつ手はなかった。
十時ごろに目がさめると、葉子はトイレット・ケイスの中から化粧道具を取り出して、顔を直していたが、火鉢のなかから鏝を取り出すと、カモフラジュの形で、わざと手のとどかないところを庸三に手伝わせたりした。庸三は前にも一度、どこかのホテルで鏝をかけさせられたことがあったが、葉子が耳にかぶさるまで蓬々と延びた彼の髪を彼女流に刈り込むようには器用に行かないので、熱い鏝の端が思わず頸に触って、彼女は飛びあがって絶叫したことがあった。葉子はいつも自身の幻影に酔っていたし、しばしば鏡にうつる黒い深い目にいとおしく見惚れて「ちょっと見て。私今日美しいわ」などと無邪気に呟くのだった。庸三もそれはそうだと思いこんでいたが、しかし鏝にさわられて絶叫した時のような瞬間々々の表情の美しさをもちろん彼女自身に見ることはできなかった。庸三はもちろん他の男にも同じ表情をしあるいはもっと哀切凄婉な眉目を見せるであろう瞬間を、しばしば想像したものだったが、昨夜のように気分の険しさの魅惑にも引かれた。