Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
私が母からもらって持って行ったお金もみんな使ってしまって。」
しかしこのマルクス・ボオイもブルジョアの一人息子だけに、葉子が想像したほど、内容にぶつかって行くのは容易でなかった。そうするのはやはり普通の世間の令嬢のような、舅姑にも柔順で、生活も質素な幾年かを、じっと辛抱しなければならないのであった。恋愛だけを切り放して考えることもできなかった。
ある日の午後、庸三と葉子はまだ秋草には少し早い百花園を逍遙していたが、楽焼きに二人で句や歌を書きなどしてから、すぐ近くの鳥金へ飯を食べに寄ってみた。そこは古くからある有名な家で、どこにいても誰とも顔の合うことのないように、廊下や小庭で仕切られた芝居の大道具のような古風な幾つかの部屋をもった落着きのいい家であった。
いつかも月の好い秋の晩に、水の好きな葉子に促がされて、濛靄のかかった長い土手を白髯橋までドライブして、ここで泊まったことがあったが、怪談物の芝居にあるような、天井の低い、燻しのかかった薄暗い部屋で、葉子はわざと顔一杯に髪を振り乱して、彼にのしかかって来たりしたのだったが、すでに二つの恋愛事件で、自身も苦しみ庸三もさんざん苦い汁をなめて、憎悪の言葉さえ投げつけたあとでは、気分の融けあうはずもなかった。