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Japanische Klassiker mit Furigana

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しゅくず

現代日本文学館8 徳田秋声

徳田 秋声

Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme

Aozora Bunko

しょぼ降る雨のなかを一本の傘で、石のごろごろしている強羅公園を歩いている時も、ここで一夏一緒に暮らしてみたいように囁くかと思うと、次ぎの相手がもう側ちかく来てでもいるような気振りを見せるのだった。さながら彼女は自然に浮かれた夢遊病者であった。

「ああ、そう夢が多くちゃ。」

「私夢がなくちゃとても寂しい。」

葉子はもう涙ぐんでいた。

煖炉が懐かしくなる時分になった。

その時分になると、葉子も神田の下宿へ荷物と子供を持ちこんでいた。毎朝毎夜、クリームを塗ったりルウジュをつけたりしていた鏡台と箪笥は今なお庸三の部屋にあった。というのも北海道の結婚生活時代に、前夫の松川と連帯になっている債務が、ここまで追いかけて来て、庸三の不在中、彼の卓子などをも書き入れて差し押えられたからで、それを釈くのに少し手間がかかったが、それも春日の事務所にいる若い弁護士に委せてあった。

上海へ逃げて行った松川からは、あれ以来何の音沙汰もなかった。葉子より庸三の方が時々それを思い出し、元へかえるならいつでも還れそうな松川に足場が出来たら、そこへ落ち着くのもよくはないかと思ったが、上海くんだりまで行くようなふてぶてしさも、葉子にはなかった。