Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
た株券なども多少残っていて、かなり派手に札びらを切ることもできたのだが、今はすっかり境遇がかわっていた。今から回想してみるとそのころの世界はまるで夢のようであった。これという生産力もなくて、自暴気味でぐれ出したのがだんだん嵩じて、本来の自己を見失ってしまい、一度軌道をはずれると、抑制機も利かなくなって、夢中で遊びに耽っていたので、酒の醒めぎわなどには、何か冷たいものがひやりと背筋を走り、昔しの同窓の噂などを耳にすると、体が疼くような感じで飲んで遊んだりすることが真実は別に面白いわけではなかった。ことに雨のふる夜更けなどに養家において来た二人の子供のことを憶い出すと、荊で鞭打たるるように心が痛み、気弱くも枕に涙することもしばしばであった。しかしほとんど酷薄ともいえる養家の仕打ちに対する激情が彼の温和な性質を、そこへ駆り立てた。
今はすでにその悪夢からもさめていたが、醒めたころには金も余すところ幾許もなかった。それでも気紛れな株さえやらなかったら、新婚当時養家で建ててくれた邸宅まで人手に渡るようなことにもならなかったかも知れなかった。
そのころには世の中もかわっていた。