Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
」
小菊は懐鏡を取り出して、指先で口紅を直しながら、
「でもいいあんばいに、こんな所が見つかりましたからね。」
「じゃ姐さん出かけましょう。」
箱丁が言うので、小菊も、
「どうぞごゆっくり。」
と言って、褄を取って下へおりた。
「いやどうも馴れないことでてんてこまいしてしまった。しかしこれでまあ今夜から商売ができるわけだ。何しろフールスピイドで、家号披露目と自前びろめと一緒にやったもんだから。」
二階へ行こうというので、常子もお篠お婆さんと一緒に上がって行った。彼岸桜がようやく咲きかけた時分で、陽気はまだ寒く、前の狭い通りの石畳に、後歯の軋む音がして、もうお座敷へ出て行く芸者もあった。
菓子を撮んでお茶を呑みながら、松島は商人らしく算盤を弾いて金の出を計算していたが、ここは何といっても土地が狭いので、思ったより安くあがった。一時間ばかりで小菊は一旦帰り、散らばっている四五軒の料亭を俥でまわった。
その晩小菊は忙しかった。今行ったかと思うと、すぐ後口がかかり、箱丁もてんてこまいしていたが、三時ごろにやっと切りあげ、帰ってお茶漬を食べて話していると、すぐに五時が鳴り、やがて白々明けて来た。