Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
しかし均平にとって、三村家のそうした複雑な環境に身をおくことは、決して心から楽しいことでも、ありがたいことでもなかった。祖父以来儒者の家であった彼の家庭には、何か時代とそぐわぬ因習に囚われがちな気分もあると同時に、儒教が孤独的な道徳教の多いところから、保身的な独善主義に陥りやすく、そういうところから醸された雰囲気は、均平にはやりきれないものであった。それが少年期から壮年期へかけての、明治中葉期の進歩的な時代の風潮に目ざめた均平に、何かしら叛逆的な傾向をその性格に植えつけ、育った環境と運命から脱け出ようとする反撥心を唆らずにはおかなかった。それゆえ学窓を出て官界に入り、身辺の世のなかの現実に触れた時、勝手がまるで違ったように、上官や同僚がすべて虚偽と諂諛の便宜主義者のように見えて仕方がなかった。しかしそっちこっち転々してみて、前後左右を見廻した果てに、いくらか人生がわかって来たし、人間の社会的に生きて行くべき方法も頷けるような気がして、持前の圭角が除れ、にわかに足元に気を配るようになり、養子という条件で三村の令嬢と結婚もしたのであったが、内面的な悲劇もまたそこから発生しずにはいなかった。