Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
ので、銀子も顔が熱くなり、ひた向きな異性の熱情を真向に感ずるのだった。
「僕いつもの処へ行っているから君もすぐ来たまえ。そのままでいいよ。」
倉持はそう言って出て行ったが、銀子はちょっと顔を直し、子供に留守を頼んで家を出たが、そこは河に近い日和山の裾にある料亭で、四五町もある海沿いの道を車で通うのであった。そのころになると、この北の海にも春らしい紫色の濛靄が沖に立ちこめ、日和山の桜の梢にも蕾らしいものが芽を吹き、頂上に登ると草餅を売る茶店もあって、銀子も朋輩と連れ立ち残雪の下から草の萌え出るその山へ登ることもあった。夜は沖に明滅する白魚舟の漁火も見えるのであった。
銀子が少しおくれて二階へ上がって行くと、女中がちょうど通し物と酒を運んで来たところで、どこかの部屋では箱も入っていた。いくらか日が永くなったらしく、海はまだ暮れきっていなかった。
倉持は何か緊張した表情をしていた。四五日前に来た時、彼は結婚の話を持ち出し、二晩も銀子と部屋に閉じ籠もっていたが、それは酒のうえのことであり、銀子もふわっと話に乗りながら、夢のような気持がしているのだったが、彼は今夜もその話を持ち出し、機会を作って一度母に逢わせるから、そのつもりでいてくれと言うので、昔亡父が母に贈ったというマリエージ・リングを袂から出し、銀子の指にはめ