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Japanische Klassiker mit Furigana

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しゅくず

現代日本文学館8 徳田秋声

徳田 秋声

Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme

Aozora Bunko

もちろん食通というほど料理の趣味に耽るような柄でもなかったが、均平自身は経済的にもなるべく合理的な選択はする方であった。戦争も足かけ五年つづき物資も無くなっているには違いないが、生活のどの部面でも公定価格にまですべての粗悪な品物が吊りあげられ、商品に信用のおけない時代であり、景気のいいに委せて、無責任をする店も少なくないように思われたが、一方購買力の旺盛なことは疑う余地もなかった。

パンやスープが運ばれたところで、今まで煙草をふかしながら、外ばかり見ていた均平は、吸差しを灰皿の縁におき、バタを取り分けた。五月の末だったが、その日はひどく冷気で、空気がじとじとしており、鼻や気管の悪い彼はいつもの癖でつい嚔をしたり、ナプキンの紙で水洟をふいたりしながら、パンをっていた。

「ひょっとすると今年は凶作でなければいいがね。」

素朴で単純な性格を、今もって失わない銀子は、取越し苦労などしたことは、かつてないように見えた。幼少の時分から、相当生活に虐げられて来た不幸な女性の一人でありながら、どうかするとお天気がにわかにわるくなり気分がひどく険しくなることはあっても、陰気になったり鬱ぎ込んだりするようなことは、絶対になかった。