Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
「ねえ――」と振りかえると、彼の姿は見えず、表へ出て見ても影も形も見えなかった。
彼はそういうことには趣味をもたず、何を買うにも金を吝々しないで、米沢町のどこの店に欲しい小紋の羽織が出ているとか、誰某のしていたような帯が買いたいとか、または半襟、帯留のような、買ってもらいたいものがあり、一緒に行って見てほしいと思っても、女の買物は面倒くさいから御免だとばかりで、店頭で余計なものを買わせられるよりもと思って、ほどよく金はくれはするが、一度も見立ててくれたことはなかった。
「それが上方気質というものなのかしら。」
銀子は思うのであったが、時に一緒に歩いている時、コンパクトとか下駄とか、珍しく見立てて買ってくれるかと思うと、決まってそれとほぼ同値の、またはそれより少し優しの類似の品を一緒に買うのであった。もちろんそれは妻への贈り物であり、彼自身の心の償いであったが、そのたびに銀子はげっそりした。
「何だこいつ。やっぱり私は附けたりなんだ。」
彼女は寂しくなり、買ったものを地面に叩きつけたくも思うのだった。
そのころに、銀子は製菓会社の社長永瀬に、別の出先で時々呼ばれ、若林よりずっと年輩の紳士だったので、何かしっくりしないものを感じ、どうかと思いながら、疎かにもしなかった。