Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
葉子は潮風に色もやや赭くなって、大々しく肥っていた。彼女は最近二人の男から結婚の申込みを受けていることを告げて、その人たちの生活や人柄について、詳しく説明した後、そうした相手のどっちか一人を択んで田舎に落ち着いたものか、もう一度上京して創作生活に入ったものかと彼に判断を求めた。
「あんたのような人は、田舎に落ち着いているに限ると思うな。ふらふら出て来てみたところでどうせいいことはないに決まっているんだから。田舎で結婚なさい。」
瞬間葉子は肩を聳やかせて言い切った。
「いや、私は誰とも結婚なんかしようとは思いません。私はいつも独りでいたいと思っています。」
そういう葉子の言葉には、何か鬱勃とした田舎ものの気概と情熱が籠もっていた。そして話しているうちに何か新たに真実の彼女を発見したようにも思ったが、ちょっと口には出せない慾求も汲めないことはなかった。
彼は後刻近くの彼女の宿を訪ねることを約束して別れたのであったが、晩餐の支度をして待っていた葉子は、彼の来ないのに失望して、間もなく田舎へ帰って行った。
一色と彼女のあいだに、その後も手紙の往復のあったことは無論で、月々一色から小遣の仕送りのあったことも考えられないことではなかった。