Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
」
葉子は黒繻子の襟のかかった、綿のふかふかする友禅メリンスの丹前を着て机の前に坐っていたが、文房具屋で買った一輪挿しに、すでに早い花が生かっていて、通りの電車や人の跫音が何か浮き立っていた。彼女はよく庸三の家の日当りのいい端の四畳半へ入って、すっかり彼女に懐いてしまった末の娘と遊んだものだが、一緒に風呂へも入って、頸を剃ってやったり、爪を切ったりした。クリームや白粉なども刷いてやるのだった。九つになったばかりの咲子は、母の納まっている長い棺の下へ潜りこんで、母を捜そうとして不思議そうに棺の底を眺めるのだったが、お母さんにはもう逢えないのだし、世間にはそういう子供さんも沢山あるのだから、もうお母さんのことを言ってはいけない。その代り貴女には兄さんも姉さんも多勢いるのだと、庸三が一度言って聞かすとそれきりふっつり母のことは口へ出さなくなってしまった。しかしどうかするとむずかるらしく、剪刀を投げられたりするから、あれは直さなければと葉子は笑いながら庸三に話すのであった。
「おばちゃんの足綺麗ね。」
風呂で彼女は葉子の足にさわりながら言うのだったが、夜は葉子に寝かしつけられて、やっと寝つくことも多かった。