Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
たお鈴という女中だけであった。後に女中の手が殖えて来たけれど、お鈴は加世子の生きている時からの仕来りを、曲りなりにも心得ていて、どこに何が仕舞ってあるのかもよく知っていた。しかし加世子も気づいていた持前の偸み癖がだんだん無遠慮になって来たところで、それもいつか遠ざけてしまった。
ある小雨のふる日、葉子は顔を作って、地紋の黒い錦紗の紋附などを着て珍らしく一人で外出した。
「私写真撮りに行ってもいい?」
彼女は庸三の机の側へ来て言った。
「いいとも。どこで……。」
「銀座の曽根といって、素晴らしい芸術的な写真撮るところよ。すぐ帰って来るわ。先生家にじっとしていなきゃいや。きっとよ。じゃあ、げんまん!」
そういう場合、大抵接吻と指切りを抵において行くのが、思いやりのある彼女の手であった。庸三は昔、下宿時代に遊びに行って、女が他の部屋へまわる時、縞お召の羽織をそこへ置いて行かれると、それが何かの気安めになったことを思い出したが、しかしその時は、どうかすると胡散くさい彼女が離れて行きそうな仄かな不安を感じながらも、言われるままにじっと待っているのだった。後になって考えると、間もなく気取ったポオズの写真が届いたところを見ると、それが全部嘘でないにしても、真実ではなかった。