Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
「当分つづけてカルシウムの注射をやってごらんなさい。」
院長は言うのだった。
庸三は帰りにニイランデル氏液を買って来て、埃だらけになっているアルコオル・ラムプと試験管とを取り出して、縁先きで検尿をやってみた。彼は病気発見当時、毎日病院へ通うと同時に、食料を一々秤にかけていたものだが、その当時は日に幾度となく自身で検尿もやった。それがずっと打ち絶えていたのであったが、今蒼い炎の熱に沸騰した試験管の液体が、みるみる茶褐色に変わり、煤のように真黒になって行くのを見ると、ちょっと気落ちがした。
「ほらほら真黒だ。」
彼は笑った。
「その皮肉そうな目。」
葉子も笑っていた。
庸三が葉子の勧めで、北の海岸にある彼女の故郷の家を見舞ったころには、沿道の遠近に桐の花が匂っていた。葉子はハンドバックに日傘という気軽さで、淡い褐色がかった飛絣のお召を着ていたが、それがこのごろ小肥りのして来た肉体を一層豊艶に見せていた。葉子はその前にも一度田舎へ帰ったが、その時は見送りに行った庸三の娘を二人とも、不意に浚って行ってしまった。その日は土曜日だった。葉子に懐いている幼い子が先きへ乗ったところで、長女がそれに引かれた。