Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
冬の夜なんか咳入る声が私たちの方へも聞こえて、本当に可哀相でしたわ。」
棚に翻訳小説や詩集のようなものが詰まっていた。細々した骨董品も並べてあった。庸三は花園をひかえた六畳の縁先きへ出て、額なんか見ていた。
「裏へ行ってみましょう。」
誘われるままに、庭下駄を突っかけて、裏へ出てみた。そこには果樹や野菜畑、花畑があった。ちょっとした木にも花にも、葉子は美しい懐かしさを感ずるらしく、梅の古木や柘榴の幹の側に立って、幼い時の思い出を語るのであった。幾つもの段々をおりると、そこに草の生い茂った堤らしいものがあって、かなりな幅の川浪が漫々と湛えていた。その果てに夕陽に照り映える日本海が蒼々と拡がっていた。啼き声を立てて、無数の海猫が浪のうえに凝まっていた。
その晩、庸三が風呂へ入って、食事をすましたところへ、もう二人の記者がやって来た。仕方なし通すことにした。
「福島の方から、ちょっとそんな通信が入ったものですから。」
文学的な情熱に燃えているような一人は、そう言って寛いだ。そして葉子を顧みて、
「ここにこんな風流な部屋があるんですか。」
そして葉子がビイルを注いだりしているうちに、だんだん気分が釈れて、社会面記者らしい気分のないことも頷けて来た。