Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
御馳走になり放しだったし、さまざまの世界を見て来た彼女の話も聴きたかった。酷い雨だったけれど、雨国に育った彼にはそれもかえってよかった。
タキシイで、捜し当てるのに少し暇を取ったが、場所は思ったより感じがよかった。
「お神さん御飯食べに銀座へ行っていますけれど、じき帰って来ますわ。まあどうぞ。」
庸三は傘をそこにおいて、上がった。そして狭い中庭に架かった橋を渡って、ちんまりした部屋の一つへ納まった。薄濁った大川の水が、すぐ目の前にあった。対岸にある倉庫や石置場のようなものが雨に煙って、右手に見える無気味な大きな橋の袂に、幾棟かの灰色の建築の一つから、灰色の煙が憂鬱に這い靡いていた。
「ひどい雨ですことね。」
渋皮のむけた二十二三の女中が、半分繰り出されてあった板戸を開けて、肱掛窓の手摺や何かを拭いていた。水のうえには舟の往来もあって、庸三は来てよかったと思った。
女中は煙草盆や、お茶を運んでから、電話をかけていたが、商売屋なので、上がった以上、そうやってもいられなかった。
「お神さんじき帰りますわ。」
女中が言いに来た。
「誰か話の面白い年増はいない。」